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PMI® EMEAコングレス2018<レポート第一弾>

ソリューション・ビジネス部
2G グループ長 三好雄介

PMI® EMEAコングレス2018(以下EMEA2018)(注1)は、Europe/Middle East/AfricaエリアにおけるPMI®*主催のグローバルフォーラムです去る5/7-9、ベルリンにて行われたこのイベントに参加しましたので、今後数回にわたってご報告します。
(*PMI® とはProject Management Instituteの略で、プロジェクトマネジメントに関する標準の策定や普及に努める非営利団体です。)

第一弾では、全体所感からお伝えします。

EMEA2018に参加してまず感じたことは、プロジェクトマネジメントといえばITプロジェクトの成功確率を高める手段という認識が主流の日本とは大きく異なり、ITだけでない各産業においてプロジェクトマネジメントが戦略実行やイノベーションの実行手段の一つであるという認識が主流となっている点です。また、ウォーターフォール・プロジェクトマネジメントの進化曲線(注2)が緩やかになっていることや、イノベーションの重要性の高まりから、PMI® としても、該当領域への知の探索と創造に注力しているようです。従来は、ブループリント(注3)が決定した後にプロジェクトが立ち上がるイメージでしたが、前工程へプロジェクトマネジメントの定義を拡大させているのです。

これらを踏まえ、EMEA2018のテーマは、「Making Difference:The Evolving The Role of Project Management」なのです。いくつかの講演から感じたのは、プロジェクト・マネジャー(以下PM)を経て、あるいはPMという立場にとどまったまま、イノベーションや戦略立案などいわゆるビジネスサイドへのステップアップを推奨しています。特に米国を中心とするイノベーション事例において、創業者が優秀なエンジニアであることや、企業ではエンジニアからPMというキャリアが一般的なためです。

また、あらゆるものがつながるIoT時代が本格到来する以前より、ひとつのセキュリティ事故が企業を破産させかねないことから、ビジネスサイドであってもセキュリティに対する理解が求められることも考慮されているようです。レポートからはやや逸れて、日本の状況ついて考えてみたいと思います。みずほインサイト(2017/10/2)『日本企業の稼ぐ力は高まったのか~企業収益の国際比較にみる日本企業の変化と課題~(みずほ総合研究所)』よると、2012年-2016年における企業収益を日本と米英独で比較すると、ROS(売上高純利益率)・ROE(自己資本純利益率)において4カ国で3位となっています。これは主観ですが、最下位であった英国に様々な環境要因(EU脱退・原油価格の下落)が無ければ、日本が最下位となっていた可能性が高いと考えています。さらに企業ごとの収益性のバラつきが最も少ないことも特徴です。つまり、国全体として、平均的に収益が上がっていない状況なのです。

ただし、収益性は徐々に回復しつつあります。さらに、内部留保はここ数年過去最高を更新し続けています。つまり、「無い袖は振れない」わけではないのです。

AI・IoTに端を発し、産業構造が大きく変化しようとしている今こそ、PMがDifference Makerとなり、企業の投資と収益性改善を推し進めていくべきなのでしょう。そのために、エンジニアからPM、PMからより大規模案件のPMという直線的なキャリアを広げ、また、エンジニアの時点からビジネスに対する理解を深め発想を広げる仕組みや工夫が必要なのです。

次回以降は、EMA2018で、注目されたサブテーマ(イノベーション、リーダーシップ、アジャイル・プロジェクトマネジメント)について、お伝えします。

注記

(注1)PMI® 主催のグローバルカンファレンスで、EMEA(Europe/Middle East/Africa)地域版。最新のプロジェクト及びビジネス動向、教育トレンドの情報発信に加え、参加者同士のナレッジ共有やネットワーキングを行う。他に、北米カンファレンス、アジア各国のカンファレンス/フォーラムがある。参加人数は、約2000名。

(注2)製品・サービス・ノウハウが時間とともに改善を重ねる様相を縦軸:成熟度、横軸:時間にとり、その進捗を曲線で描いたもの。通常はS字カーブを描く。

(注3)青写真。見取り図的な将来計画。(ここでは、そのプロジェクトによって戦略的に何を成し遂げるのか、という意味。)

参考

・みずほインサイト(2017/10/2)『日本企業の稼ぐ力は高まったのか~企業収益の国際比較にみる日本企業の変化と課題~』、みずほ総合研究所

 

 

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