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従業員意識調査を組織力強化につなげる3つのポイント

企業を取り巻く市場、競争環境はますます変化のスピードを増しており、企業が持続的な成長を維持するために、従業員の意欲、能力を最大限に引き出し、組織としての活動成果を生み出すことは大きな課題の一つです。
しかし、ある調査結果(注1)では、仕事に対する意欲、仕事から得られる満足感が低下している従業員は約4割となり、組織で仕事をするうえでの意欲を十分に引き出されていない傾向がうかがえます。また、同じ調査では会社への帰属意識や忠誠心は以前よりも低下していると感じている人は約2割という結果もあり、個人としての生活やキャリアをより重視するようになっていると考えられます。企業と従業員の関係が変わる中で、従業員の意欲、能力を高める環境を整えるために、新たな形を探す必要が出てきていると言えるでしょう。
そこで、現状の組織の問題点を明らかにし、課題の優先順位づけを行うためのツールとして、従業員意識調査を活用することへの関心も高まっています。しかし、調査を行って分析したものの、そのままになってしまった、というケースも少なくありません。ここでは、従業員意識調査を組織力強化につなげる3つのポイントについて考えていきます。

インデックス



1.組織の目指す姿を描き、仮説を持つ

第一のポイントは、意識調査を行う前に仮説を十分に持つことです。仮説があるからこそ、データを見たときの気づきや発見が明確になります。仮説のないまま、従業員の意識が数値として表れた調査結果を見ても、何が問題なのか、さらに問題を解決するためには何が重要なのか、優先順位をどのようにつけて着手すればよいか見当がつかない、という段階で立ち止まってしまうケースがあります。また、本来目指す姿が共有されないままでは、調査結果から次なる打ち手を判断しようとしても、結論が出ないままになってしまう可能性もあります。

調査を通じて課題を明確にするためには、不確実な要素が多くあったとしても、組織が目指す姿を描き、目指す姿を実現するためには何が求められるのか、また今何が問題になっているのか、その後どのようなプロセスで実現しようとするのかについて、仮説を持つことが重要です。

2.調査結果の背景を探り、具体的な施策につなげる

第二のポイントは、調査結果の背景の分析を着実に行うことです。調査を実施しても課題解決を図る具体的な施策に結び付けられないというケースは多くあります。例えば、若手が仕事のやりがい、職場の働きがいを感じられていない、という結果が出たとしても、やりがいを高める職場づくりをしよう、とスローガンを立てるのみでは変化を起こすことはできません。本質的な課題解決を行うためには、調査結果の背景にはどのような要因があるのか、何を変えていかなければならないかを掘り下げることが必要です。やりがい、働きがいを促進するために必要なことは、本社主導で社内の仕組みや風土を変革することである場合も、現場で仕事の進め方や職場の風土を変革することの方が重要である場合もあります。調査の結果から明らかになった課題を解決するには、その背景にどのような要因があるのか、現場を巻き込んだヒアリングやワークショップを通じて真の要因まで掘り下げ、全社レベル/職場レベルの両面で検討したうえで具体的な施策につなげることが求められます。

3.従業員自身の当事者意識を醸成する

第三のポイントは、組織の風土や文化をつくる従業員側の当事者意識を醸成することです。意識調査を組織力強化の動きに結び付けられない最も大きな理由は、この点が不十分であることと考えられます。 例えば、調査を行う際に「率直な意見を聞かせてください」と周知された場合、「会社への不満を言える機会」ととらえる人もいるでしょう。また、調査後には 「やる気が出るような環境を会社が整えてくれるのではないか?」と期待する人もいるでしょう。調査が従業員から組織へのメッセージ、調査結果のフィード バックが組織から従業員へのメッセージに終わってしまっては、調査は従業員と組織の一方通行の思いを伝えるだけのツールになってしまいます。

従業員が活き活きと働く土壌をつくるために、組織がさまざまな制度・施策を打ち出したとしても、当の従業員自身に変わろうとする意識がなければ、組織が真に活性化することにはなりません。 調査を行ううえで同時に行うべきことは、従業員全員が組織づくりの重要な一員であることを認識してもらい、従業員と組織が一緒になってより良い組織づくりを行おうとする姿勢を浸透させていくことです。また、調査結果をフィードバックする際には、組織からのメッセージを伝えるだけではなく、一人ひとりが組織や職場で何をできるかを考える場づくりを行うことが重要であると考えます。

4.まとめ

以上、従業員意識調査を通じて組織力強化へつなげるポイントは、

  1. 調査の前に組織の目指す姿を描き、仮説をもつこと、
  2. 結果から、その背景にある原因を深く掘り下げ真の要因に対する打ち手を導き出すこと、
  3. 従業員の声を吸い上げる仕組みではなく、従業員が一緒になってよりよい組織づくりを行う意識づけを同時に行うことが重要であると考えます。

従業員意識調査は、調査そのものに意味があるのではなく、組織の目指す姿に対して従業員とともに歩む企業の風土、文化をつくる活動として活用してこそ意義あるものになるのではないでしょうか。

(注1)独立行政法人 労働政策研究・研修機構 2008年9月 従業員の意識と人材マネジメントの課題に関する調査

(2009.10.29)

著者プロフィール

蔭山 明子
蔭山 明子

株式会社 富士ゼロックス総合教育研究所 マーケティング推進部 Societal Leaders プロジェクト Society-Inプロセスデザイナー

富士ゼロックスでの営業・マーケティング・モチベーション開発企画の経験を経て、2007年に富士ゼロックス総合教育研究所に移る。リサーチ/アセスメントの企画開発や、企業の理念/ビジョン浸透、部門間連携強化などの組織開発のテーマでのコンサルティングと実行支援を行っている。現在は、企業の垣根を越えた、社会的な関係性からの価値創出を実現するための基盤/プロセスづくりに取り組んでいる。

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