ホーム > 調査・研究 > コラム・レポート > 組織開発 > 組織成果を生み出すチーム活動に求められること

組織成果を生み出すチーム活動に求められること

インデックス

 

1.はじめに

企業の競争力強化のために、一人ひとりの生産性向上と組織力の発揮は企業にとって大きな課題の一つです。複雑で高度になる業務を効率よく遂行するために、 組織での仕事の進め方は業務や役割を細分化する傾向が進んでいます。また、成果主義の徹底により、個人の責任が明確になり、一人ひとりが自分の業務範囲、 成果をより意識して仕事をするようになりました。 業務や役割の細分化と明確化は、一人ひとりの専門性や知見を高め、迅速で確実なアウトプットを出すために効率的であるともいえます。しかしその反面、ある 範囲に対してはその人しか知らない、また、その人は関連する他の業務を知らない、という状況が生まれています。スピードを求められる中では、お互いの抱え る状況や課題を共有する余裕もありません。たとえ情報共有を行ったとしても、前提となる知識や背景を理解していないため、お互いに質問もなく、報告のみの 場になってしまうことはないでしょうか。今後、市場を取り巻く環境変化のスピードがますます増し、環境変化への適応がますます求められているにも関わらず、新たな価値を創出することや、一人の知恵では生まれなかった新たなアイディアを生み出すことが難しくなっているとも考えられます。 今後、個人の力を結集して組織力を発揮するためには、新たな「チームづくり」を考える必要があります。ここでは、成果を生み出すチームづくりに重要な二つの要素について考察します。

2.チームの目的・目標に向かうこと

一つめは、チームの目的・目標に向けた活動を進めることです。まず、メンバーの間でチームの目的・目標が共有化されていることが必要です。もし、「あなたの所属するチームのメンバーは、チームの目的・目標を理解できていますか?」と問われると、「もちろんできている」と感じる方が多いのではないでしょうか。全社、各部門の目標が提示されており、個人の役割や目標は、チーム目標からブレークダウンしているものであるから、一人ひとりが目標を理解していることは当然のことと思われます。しかし、質問を一歩進め、「チームの目標達成が意義あるものと感じられていますか?」ということを改めて考えると、確信を持って答えられない方が増えるのではないでしょうか。個人にとっては、まず自分の役割範囲や評価、自分自身の成長や興味への適合に強い関心を持っていて、 チームへの目標への関心は低くなる場合もあります。また、目標を理解していても、目標を達成すること自体にはあまり魅力を感じていないという場合も多くあります。組織に所属する立場としての「やらなければならない」という役割意識は目標をやり遂げる原動力になりますが、困難な状況にあってもより高い成果を目指して全体的な視点で見渡し、何が起きているか、どのように解決すべきなのかのを考えて活動することは難しくなってしまうことが考えられます。 チームの目的・目標を共有した次の段階で、仕事の進め方や役割に基づいた活動を行うことになります。しかし、目標達成のためのプロセス、役割がきちんと決まっていたとしても、まだそれだけでは不十分です。現在は環境変化が激しく、当初の想定どおりに計画が進まないこともあり、プロセス・役割を即時に見直さなければならない事態も出てきます。このときに、自分の役割の範囲だけを見ている場合にはその変化に気づくことができません。また、一人ひとりが自分の役割、仕事の進め方だけに固執すれば、変化に柔軟に対応することができません。 チームが目的・目標に向けて活動するためには、チーム全体への目標達成意欲を醸成すること、状況によっては個人の役割や仕事の進め方を柔軟に変化させることができる状態にあることが求められます。

3.メンバー同士の関係性

もう一つの要素は、活動を支えるメンバー同士の関係性です。個人で仕事を進め、職場でのつながりが少なくなる現状では、チームでの関係性は以前とは変わってきています。 個人に割り振られた業務での成果をあげるために、他のことに関心を向ける余裕がない、あるいは自分の担当する業務以外への知見はお互いに足りないため、業務の進め方について意見を交わすこともなく、自分の役割を自分でやり切る雰囲気が徐々に職場の中には形成されている可能性があります。また、他の人の仕事に口出しをして、気まずくなりたくない、という思いもあるでしょう。コミュニケーションの量・質ともに少なく足りなくなり、メンバーがお互い学び合う経験のないまま活動を進める悪循環が生まれてきます。現在は、このようなメンバー同士の関係性が十分に形成されずに、一人ひとりの役割責任を果たすことに専念してしまう状況が往々にしてあるのではないでしょうか。 ここで注意すべき点は、関係性の良さとはただ仲が良く、妥協し合うということではないということです。お互いの異なる知恵を率直に開示し、また受容し合う関係性が築かれることによって、新たな知恵が生まれ、環境の変化をとらえ対応していくことができるようになるのです。

4.今後のチームづくりの方向性

チームの関係構築は一朝一夕には実現できるものではなく、チームでの効果的な活動経験を通じて形成されるものです。個人の役割責任が明確になっている環境ではなおさら、チーム内での日常的な「場づくり」は非常に重要な役割を果たします。変化への適応力と創造性の高い優れた成果を発揮するチームづくりのために、チームマネジメントにおいては「目的・目標の共有」、「関係性の構築」の2つの視点からの場づくりを意識的に行うことが、ますます重要になるのではないでしょうか。

(2009.12.9)

著者プロフィール

蔭山 明子
蔭山 明子

株式会社 富士ゼロックス総合教育研究所 マーケティング推進部 Societal Leaders プロジェクト Society-Inプロセスデザイナー

富士ゼロックスでの営業・マーケティング・モチベーション開発企画の経験を経て、2007年に富士ゼロックス総合教育研究所に移る。リサーチ/アセスメントの企画開発や、企業の理念/ビジョン浸透、部門間連携強化などの組織開発のテーマでのコンサルティングと実行支援を行っている。現在は、企業の垣根を越えた、社会的な関係性からの価値創出を実現するための基盤/プロセスづくりに取り組んでいる。

お問い合わせはこちら

お問い合わせ