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次世代リーダーのモチベーション向上にむけて

ソリューション統括部
元木幹雄

インデックス

 

1.会社への不満とその要因

いつの時代においても、従業員というのは少なからず組織運営や人事制度、上司や職場、仕事に対して不満をもつことがある。ES(従業員満足度)調査やインタビューを実施していると、特に次世代のリーダーとなり得る中堅、管理職(以下、次世代リーダー)クラスの組織運営や人事制度(特に給与や賞与といった報酬面)に対する不満は大きいと感じる。 ()内の言葉は口に出さないものの、言外に伝わってくる思いを想像しながら次世代リーダーの代表的な意見を抜粋すると、以下の通りだ。

「(こんなにがんばっているのに会社が良い方向に向かわないのは)経営層や上司が、明確な方針を示さないからだ」
「(成果主義といいながら、成果を上げていない上司や年配社員より)給与や賞与が少ない」
「(上も下も変わろうという意識が少ない)危機意識が足りないのではないか」
「(能力を重視した配置といっておきながら無能な上司が居座り)昇進・昇格のチャンスがない」
「(必要のない会議や、意味のない事務処理に忙殺され)仕事に集中できない」

2.次世代リーダーの不満

それではなぜ、特に次世代リーダーの不満が大きいのか。 次世代リーダーは、不満は持っていても、仕事に対するモチベーションが低いわけではない。むしろ誰よりも成果を上げているという自負と自信から、会社への期待が過度に大きくなっていることに起因するものではないかと考える。自分は「こんなにがんばっているのに」「こんなに成果を上げているのに」「こんなに能力をもっているのに」という思いから、だから会社は、「自分に報いるべきだ」「自分にチャンスを与えるべきだ」「やりたい仕事に集中できる環境を与えるべきだ」という理屈になっているように感じる。つまり、次世代リーダーは成果と仕事への自信を背景に、特に組織運営や人事制度(報酬面)に過度な期待をしていることがうかがえる。その結果、期待と現実とのギャップがうまれ、不満が大きくなっていることが考えられる。

3.次世代リーダーの満足度向上に向けて

フレデリック・ハーズバーグが提唱した2要因理論(動機づけ・衛生理論)がある。 仕事の不満足に関わるのは「会社の政策と管理方式」「監督」「給与」「対人関係」「作業条件」などであり、これらが不足すると職務不満足を引き起こす。但し、満たしたからといっても満足感につながるわけではない。単に不満足を予防する意味しか持たないという。 一方、仕事の満足に関わるのは、「達成すること」「承認されること」「仕事そのもの」「責任」「昇進」などで、これらが満たされると満足感を覚えるが、欠けていても職務不満足を引き起こすわけではない、との考え方だ。 この2要因理論に当てはめて考えると、次世代リーダーの不満は、動機付け要因より「組織運営」「人事制度(報酬面)」といった衛生要因の問題が多い。つまり、組織運営や人事制度(報酬面)の不満をそのまま受け止め、解決のための努力しても、満足度が向上するわけではない。もちろん不満解消のための努力は必要だが、過度な反応しなくても良いと考える。組織運営上の問題は、明確な方針を打ち出すことはもちろん重要だが、次世代リーダーの顔色を伺いながら、満足いくような方針を打ち出そうと考える必要はない。組織運営は全体のバランスの中で運用されるものなので、一世代だけをフォーカスするとかえって混乱する。人事制度(報酬面)の問題も、ライバル企業の報酬水準を大きく下回っているのであれば、次世代リーダーを社外流出させるリスクを発生させるが、そうでなけ れば報酬水準を上げて解決する必要はない。たとえ、報酬水準を上げても、数ヶ月は、その効果を感受できるが(不満はある程度解消できるが)、すぐにそれが当たり前になってしまい、満足度が高まることはない。 むしろ、組織運営や人事制度(報酬面)といった衛生要因の問題解決より、動機付け要因を着目した不満の解消に努めるべきである。例えば、以下のようなイメージだ。

「自分でやりたいと思っていることを、やらせる」
「仕事の成果を承認し、達成感を味わってもらうよう、働きかけする」
「能力ある人材には、魅力ある仕事を与え、権限を与える」

上記は、会社や上司から与えられるような外発的な報酬が中心ではなく、内側から湧き出るモチベーションを引き出すための方法である。キーワードは「自己決定」「成長感」「達成感」「責任の持てる魅力的な仕事」であり、これらをどう次世代リーダーに与えていくかを考えるべきだ。 まずは手始めに、次世代リーダーの関心事を確認し、やりたいことができるような「時間」「雰囲気」「予算」を与えてみる。うまくできれば、その成果を承認する。失敗すれば、なぜできなかったのかを考えさせ、内省を促し、再度チャンスを与える。こんなことを繰り返しながら、成果を上げ続けた人材に、責任と魅力のある仕事を与え、更なる権限を付与する。こんなことが実現できれば、次世代リーダーの不満は吹っ飛び、モチベーションを最大化できるのではないだろうか。できない理由を探すのではなく、是非、できる方法を考えたいものだ。

(2009.11.13)

著者プロフィール

元木 幹雄
元木 幹雄

株式会社富士ゼロックス総合教育研究所 研究開発&コンサルティング部 コンサルティンググループ マネジャー

人事教育コンサルティング会社及び遠隔通信制(オンライン)ビジネススクールにて営業や企画スタッフを経験後、2001年に富士ゼロックス総合教育研究所に入社。人事制度及び人材育成制度の導入・定着に向けたコンサルティング、人事情報システムやタレントマネジメントシステムの導入支援、リサーチ&アセスメントの企画・実行支援に従事し、現在に至る。産業能率大学大学院経営情報学研究科(MBA)修了。

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