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女性活躍で切り開くダイバーシティの推進 富士ゼロックス全社で推進するダイバーシティの取り組み

富士ゼロックス株式会社リーダー革新事例

富士ゼロックス株式会社さま

富士ゼロックス株式会社では、さまざまな個性やバックグラウンドを持つ多様な従業員一人ひとりが能力を最大限に発揮できる企業を目指し、ダイバーシティ推進に取り組んでいます。その取り組みが認められ、平成28年ダイバーシティ推進を経営成果に結びつけている企業として新・ダイバーシティ経営企業100選(経済産業省)にも選出されました。

富士ゼロックスのダイバーシティへの取り組みの歴史

取締役 常務執行役員
山田 透

山田 富士ゼロックスでは創業当初より「個の尊重」を重視し、時代時代に合わせた活動を展開してきました。企業理念の中でも私たちが大切にするものの中に「多様性の尊重」が明記され、性別・国籍・障害・年齢を問わず能力を発揮できる会社を目指すことが宣言されています。

丸山 富士ゼロックスのダイバーシティへの取り組みは歴史が深く、1988年にはニューワークウェイという活動がスタートしています。その一環で「レディースパーソネルコミッティ」という名称で各職場から女性が集まり、働きやすい会社にするにはどうすべきかを議論し、今多くの企業で当たり前となっている「育児休暇制度」「時短勤務制度」「介護休暇制度」などが生まれてきました。その後も形を変えながら、社員の声を反映した制度だけではない環境整備を進めています。
また、1998年からは、中国の技術系の大学と提携した海外学生のインターンシップもスタートしました。当時、受け入れ部門は非常に大変だったと思いますが、インターンシップを繰り返すうちに徐々に受け入れる側も慣れ、電子辞書を持参して歓迎会をしたりと、なんとかコミュニケーションをとろうとする動きが出てきました。異なる価値観と触れ合う機会が増えることで、互いに理解しあおうとする風土づくりにもつながっていると思います。
当時はまだ女性活躍やオフショア開発などという言葉もあまり聞くこともなく、かなり早い段階での取り組みだったと思います。

山田 ダイバーシティの推進には「なぜ我々の会社にダイバーシティが必要なのか?」という共通のコンセプトが必要です。社会一般に重要度が増しているから、という理由では社員一人ひとりに浸透しません。
私たちはコピー機を売っていた時代を経て、多様なサービスを展開する企業に成長してきました。海外売上高は1/3から1/2へと拡大し、海外のマーケットを知ること、多様な視点を取り入れることも欠かせなくなっています。さらに、日本国内の労働力減少が見込まれる中、あらゆる人が活躍できる環境を整えることが、優秀な人材を確保し、一人ひとりの能力を発揮することにつながります。そういった意味で今後、多様な価値観を取り入れ、一人ひとりが最大の能力を発揮することが会社の成長には不可欠となっているといえるでしょう。

富士ゼロックスが考えるダイバーシティ推進

人事部 部長
丸山 孝幸

丸山 ダイバーシティの推進といっても制度面の充実だけではだめで、制度を活用してよいという「風土」や「身近な上司の理解」がなければ掛け声だけになってしまいます。企業のトップがダイバーシティの推進を本気で目指していることを宣言し、身近な上司にも浸透してはじめてダイバーシティ推進の風土が醸成されていきます。グループ会社も含めた意識の改革は決して一筋縄ではいきません。研修・e-learning・社内向けのダイバーシティWeb・ES調査・ダイバーシティサーベイなどあらゆる施策を通じて、制度以外の面からも計画を進めています。

山田 例えば、新卒採用時には女性を半分採用していますが、一方で30代前半に辞める人がまだまだいることも事実です。辞めていく理由は「育児」や「パートナーの転勤」などが大きな理由の一つです。こういった問題には制度や支援体制の見直しを中心に、現場での風土改革を含めて対策を講じています。
一方で、仕事のミスマッチが原因でキャリアチェンジする人もいます。これは単に制度を充実させるだけでは解決できず、本来持っている社員一人ひとりの仕事のニーズをつかんで、会社の求める役割と本人の意向をマッチングしていく必要があります。仕事への意識をしっかりと捉え、一人ひとりの働き方に向き合うことで、働きがいの面からも能力を発揮できる環境をつくることが大切です。一人ひとりの働きがいの充実が、事業の成長につながると考えています。

富士ゼロックスにおけるダイバーシティの特長
富士ゼロックス全社にとってのダイバーシティの意義

女性管理職の登用には風土や意識も重要

女性管理職比率の推移

丸山 2016年度現在、富士ゼロックスでは女性管理職比率が6.5%となっています。一般的な製造業平均はまだ3%台ですから、比較すると約2倍の実績となっています。2017年度には8.9%、2020年度には14%を目指し、女性管理職の登用を進めています。
同業他社に比べ女性管理職登用が進んでいる背景には、長年にわたり環境整備や意識の改革を進めてきたことで、女性だからこうするべきといったメンタルブロックのようなものがなくなり、女性活躍の風土が出来上がってきていることがあると感じています。

山田 女性管理職のテーマで言えば、「女性社員がそもそもマネジャーになりたいのか?」という意識の問題もあります。データを取ると男性社員と比べ女性社員がマネジャーになりたい割合は半分程度にとどまる傾向にあります。そのため、マネジャーになりたい女性社員を増やすアプローチも必要です。女性マネジャーで活躍しているロールモデルを見えるようにし、厳しさの中にあるマネジャーの楽しさを伝えていくことも大切です。同時に、男女問わず若い段階で責任ある仕事を任せることで挑戦意欲を醸成し、多様な人にチャンスをつかんでいただきたいと思います。

富士ゼロックス総合教育研究所への期待

丸山 富士ゼロックスでの人材課題の解決は、多くのお客さまの人材課題の解決と共通するはずです。特にダイバーシティ・女性活躍というテーマは今まさに困っていて、どのように進めてよいかわからないというお客さまも多いはずです。富士ゼロックス内で実践した取り組みをお客さまにご提供し、ぜひ多くの実践を重ねていただきたいと思います。また、お客さまからの学びを取り入れ、再び富士ゼロックス内で実践し、継続的に質の高いサービス・コンサルティングを提供できるようにすることを期待しています。そのためにも、富士ゼロックスでの実践事例を積極的に共有し、連携を強くしていければと思います。
富士ゼロックス総合教育研究所は富士ゼロックス全社の中で、女性管理職をはじめて採用した会社です。富士ゼロックスが単体ではできなかったことを先駆けて実践してきた会社でもありますので、特に女性活躍の分野では期待したいと思います。

山田 ダイバーシティを進めるスキームは富士ゼロックスの事例でわかってきていると思います。トップメッセージから始まり、上司の意識改革、風土改革など研修にとどまらないダイバーシティのトータルパッケージが提供できることを期待しています。
また、ダイバーシティの推進には業務プロセスの変革は切っても切り離せません。業務プロセスの変革は富士ゼロックスのテクノロジーを活用し、人や組織の変革は富士ゼロックス総合教育研究所でのノウハウを生かすことができれば働き方全体に変化を起こすことができます。ダイバーシティをきっかけに、互いの得意分野を活かしたビジネスの連鎖を起こし、新しいタッグが組めればと思います。

女性活躍推進をどのように推進したか

女性活躍推進の取り組み実績

人事部 人事グループ 人事企画チーム
チーム長
井野 博之

女性活躍推進の企画を統括

井野 もともと富士ゼロックスでは「個を尊重する」という文化、「社員の声を集めて経営に反映させる」という文化が根付いていました。女性活躍の分野では、1980年代から積極的な取り組みが続いており、女性が集まり経営へ提言するという活動が積み上げられてきました。実際に風土・制度面にも色濃く反映されています。
特徴的な制度では、配偶者が転勤になったときに転勤先にあるグループ企業で働くことができる「配偶者転勤帯同制度」が2016年からはじまりました。本来ならば辞めてしまっていたかもしれない人材が、制度を活用し、どの地域にいても働くことのできる環境が整備されています。他にも、不妊治療のための休職制度も他社に先駆け早い段階で整備し、活用されています。
女性活躍に向けた提言活動は2012年よりダイバーシティフォーラムという名称で、目的を新たに実施されています。その中で、女性活躍に向けた4つの課題「長時間労働」「柔軟性のある働き方」「女性社員の意識」「周囲の意識」が提起され、それぞれに対して「働き方変革」「新勤務制度の導入」「育成プログラムの導入」「職場理解促進のための広報活動」を展開しています。
当時、女性活躍推進法の制定を控えており、国内のグループ全社に推進活動を広げるため、グループ各社の現状把握を目的として、ダイバーシティサーベイを実施することにしました。

ダイバーシティサーベイを実施した感想と仮説の変化

富士ゼロックス首都圏
総務部 働き方変革推進グループ グループ長
長井 由希子

ダイバーシティサーベイの計画・推進に参画

長井 女性活躍推進で気を付けなければならないのは、総論としてやったほうがよいという賛同は得られますが、各論になったときにどのくらいのコストをかけて、何を優先的に実施するのかを決めなければならないということです。さらに、なぜ女性なのか、なぜ育児休職者なのかなど、施策を展開する対象以外から逆差別ととられないように配慮もしなければなりません。サーベイの良い点は、難しい意思決定に対して数字で事実を浮かび上がらせてくれる点です。施策に落として、コストをかけるという具体的な段階になったときに数字は非常に説得力があります。例えば、「実際にお子さんがいて短時間勤務の人」よりも「未婚者の若手」の将来への不安感のほうが大きいことが分かりました。育児休暇後のサポートももちろん大切ですが、ライフイベントを控え、自分らしい働き方、両立の姿を模索し始める20代に対する支援の重要度が高いとはっきり分かってきたのです。予想はしていましたが、数字として出てくると、未来にどういう状況が予測され、どの程度対策を打つべきかの指針になります。
サーベイの結果全体から、「上司のサポート」「トップの本気度」「ロールモデルの提示」の重要度が高いという結果が得られました。さらに、グループ各社ごとのばらつきが大きく、地方と都市部との差が大きいことも分かりました。実態がしっかりとつかめることで、優先度をつけて納得感のある施策が検討できます。サーベイには「やったほうがよい」から「やりましょう」に変える力があると思います。

ダイバーシティサーベイの狙いと枠組み
ダイバーシティサーベイレポート

ダイバーシティサーベイ実施後の施策展開

人事部 人事グループ 人事企画チーム
ダイバーシティ推進担当
北沢 裕子

ダイバーシティサーベイの結果をもとに全社施策を展開

北沢 ダイバーシティサーベイで得られた結果を参考に「上司のサポート」「トップの本気度」「ロールモデルの提示」には特に重点を置いて施策を展開しています。
「上司のサポート」に関しては、マネジャー研修やe-learningを通じてダイバーシティ教育を広げていっています。それまでは「ダイバーシティ」という言葉を、会社として正式に教育しているという場がありませんでした。ダイバーシティを単なる女性活躍や弱者保護という視点ではなく、個の尊重として会社の考え方を正しく伝える場を設けています。誰しも持っている無意識の偏見に気づく場をつくりながら、上司を中心に組織全体からサポートを得られやすい風土づくりを推進しています。
「トップの本気度」や「ロールモデルの提示」という点については、主にイントラ内のダイバーシティWebを中心に施策を展開しています。ダイバーシティWebでは、グループ各社のCEOが自らのメッセージでダイバーシティを語るコンテンツが掲載されています。また、各社のロールモデルとなる社員が紹介され、グループの強みを生かして、さまざまな”働き方””両立の仕方”の先輩を探すことができるようになっています。
このようにグループの強みをしっかりと生かすための共通施策を推進すると同時に、グループ各社は、サーベイ結果を活用しながら、自社の課題や進捗度合いに合わせた個別施策を展開しています。

ダイバーシティサーベイで幹となった設問と導かれた施策
ダイバーシティWeb

インタビュー後記

本稿で紹介しているダイバーシティサーベイは、富士ゼロックスの研究開発部門でのワークスタイルの先行研究を活用し、東洋大学との共同研究、富士ゼロックス全社(富士ゼロックスおよび関連会社)での実証を経て開発しました。仕事のエンゲージメント、上司のサポート、チームの成熟度、会社の本気度といった枠組みで、女性活躍の現状や、促進要因、阻害要因を明確にするツールです。どのような組織でも、どのようなフェーズでも活用できるように普遍的な設問で構成されています。
ダイバーシティサーベイには主に4つの役割があります。(1)女性活躍の現状の見える化、(2)推進上の強みと課題の明確化、(3)求められる解決策の提示、(4)意識的に取り組んだ施策の効果測定の4つです。
富士ゼロックス全社では①~③として活用し、現場で起きている問題や生の声もくみ取りながら体系的に現状を把握したうえで、具体的な改善施策を展開しています。今後は定点観測による「効果測定」にも活用し、推進活動の重要な基礎データを積み上げていきたいと考えています。
ダイバーシティの推進は、女性活躍にとどまらず、働き方改革にも繋がる重要なテーマです。我々富士ゼロックス全社での活動から得られた知見を生かし、各社の状況に即した推進のご支援ができればと思います。

富士ゼロックス総合教育研究所
北村 直也

Profile:マーケティング会社を経て2007年当社に入社。ES(従業員満足度)調査、CS(お客様満足度)調査を中心にリサーチの企画及びコンサルティングに従事。ダイバーシティサーベイの開発にも携わる。3ヶ月間の育児休暇を取得した経験を持つ。統計調査士。

取材日:2016年11月

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